フリーランスと失業給付

 

今回のCOVID-19対策で話題になった一つに、フリーランスを含む自営業者への「失業給付」があります。自営業者が事実上「失業」した場合の任意加入の国民失業保険というようなものは全く存在しません。被用者である雇用保険被保険者には休業手当への助成が行なわれるのに対し、被用者でも週20時間未満のパートタイマーなどを含め、雇用保険に入っていない人へ日額上限を定めて給付しようとするものです。

 

 

ところで、このような動きは、日本独自のものではなく、欧米でも生まれているとのことです。昨年11月に、欧州連合(EU)で、近年のデジタル化による就業形態の多様化への政策対応の一環として、「労働者と自営業者の社会保障アクセス勧告」が成立し、加盟国に対してすべての労働者と自営業者に十分な社会保障を確保するように求めたということです。[JILPT研究所長濱口氏の緊急コラム(JILPTホームページ参照)]

 

なお、お隣の韓国でも510日の就任3年の特別演説で大統領が、「全国民雇用保険制度の実現」を目指すことを明らかにしました。来年には委任契約や請負契約に基づいて働く個人事業者の形態の就労者や(インターネットで仕事を請け負う)プラットフォームワーカー、アーティストたちに対し雇用保険を適用するとのことです。

 

パソコンと周辺機器さえそろえれば、オフィスに集まらずに各人の仕事ができ、更にほんの数名の”文殊の知恵“が結集することで巨大な事業も展開できる、そういう時代が一般化しつつあります。事業の形態が変わり、雇用契約を不要とする人が増えることが予想されます。各種政策を通じて、時代に取り残される人、結果として”支えられる人“を最小限にすることも求められます。自営業者である我々社労士の業務も大きく変わっていくことと思われます。春秋に富む人々への期待は膨らみます。