派遣労働者数の算入要否(安全管理体制)

 「常用労働者数は?」と問われたときに戸惑うことが結構ありますね。通常は直接雇用の労働者数を基本として、捉えることとなります。しかし、安全衛生管理体制の場合、その選任・設置基準においては派遣労働者数を算入しなければなりません。このことは皆さんはご存知でしたか。50人前後の従業員規模の企業においては特に注意してください。

 

産業医、安全管理者、衛生管理者、衛生委員会などについては、事業場の規模が50人以上となった場合に選任し設置することが労働安全衛生法に定められていることはご承知でしょう。しかし、その「50人」のカウントにあたり、派遣労働者数を含めることは、ご存知でしたか。労働者派遣法45条に規定されています(規定本文は引用条数の羅列で難解です。いきおい解説書に頼ることとなります。小職は、中災防ブックスの『労働安全衛生法のはなし』(畠中信夫著)を使っています。)。

 

産業医、衛生管理者、安全・衛生推進者については、派遣元及び派遣先の双方にそれぞれ算入する扱いとなります。また、安全管理者については、派遣元においては労働者数の算定基礎に算入する必要はありませんが、派遣先においては算入しなければなりません。

 

更に、安全委員会の要設置基準では、派遣先のみが派遣労働者数を算入しなければならず、衛生委員会の場合は派遣元及び派遣先の双方にそれぞれ算入することとなります。

 

なお、派遣労働者数の算入の要否をしっかり押さえた上で、事業場が50人以上となると法令上発生する義務は次のとおりです。

 

① 衛生管理者の選任:選任報告書の労基署への提出

② 産業医の選任:選任報告書の労基署への提出

③ 安全管理者の選任:ただし業種(屋外産業、工業的業種)による。

④ 定期健康診断結果報告の提出

⑤ ストレスチェックの実施:1年以内ごとに1回、定期に。検査結果等報告書を労基署に提出。

⑥ 休養室の設置:常時50人以上又は常時女性30人以上の場合、男女別して設置(事務所衛生基準規則21条にある)

 

 

漏れのないよう対応してください。