植物はすごい

 牧野富太郎博士をモデルとした朝ドラ「らんまん」は9月で終了しましたが、楽しく見ていました。触発されて書店でふと手にした『植物はすごい』(田中修著:中公新書)が、また、非常に面白く一気に読了しました。

 

 

 

 植物たちは動物と違い、自らは移動することはできないのですが、子孫繁栄のため、また、生き残りをかけて、さまざまな努力をしているというのです。

 

 キャベツのタネは1粒約5ミリグラム。発芽し成長して約4か月後には1玉1200gの大きさに。約24万倍です。95%の水分を差し引いても12千倍。この成長力を生み出すエネルギーは光合成により自ら作りだすブドウ糖、デンプン、そしてアミノ酸で得ています。

 

 動物や昆虫に食べられないために「とげ」や有毒物質を作り、タネが未成熟の間は実を渋さや苦さで守る。小さなタネは風などに乗り、大きなタネは動物に食べられて糞と一緒に遠くにまき散らされ生育地を広げます。森林浴で浴びる香りは人に癒しを与えてくれますがそのフィトンチッドや、落ち葉の出す香りなどはカビや病原菌を殺したり繁殖を抑えて親木を守ります。

 

 あまりに強い太陽光、中でも有害な活性酸素を作る紫外線対策としては、ビタミンCやEをつくります。また、きれいな装いの花や葉に含まれる色素アントシアニン、カロテンも抗酸化物質だとのこと。夏の暑さ、冬の寒さに耐える植物の努力、などなど。

 

 NHKラジオの「夏休み子ども科学電話相談」で回答者を務めているという著者の語りは軽やかでした。