貧すれば鈍す

今日から新年度。各企業に夢を膨らませ、入社される若い人たちに、大いに活躍してもらいたいものです。

ところで、最近、日本の経済力の著しい低下を取り上げた記事、動画等を多いですね。

 

昨年10数回開催し報告書を公開した、厚労省の「新しい時代の働き方に関する研究会」での検討資料の一つに、各国の従業員エンゲージメント(仕事や職場への関与・熱中の度合)比較があります。日本企業の従業員のそれは、世界全体でみて最低水準にあることを紹介しています。企業へのロイヤリティ、仕事への専念意欲は、かつては他国に比して高いとされてきました。ロイヤリティは企業への愛情につながるため、エンゲージメントの高さにも連動するものと考えると、驚きの低い数値です。

また、同研究会資料に、国別に20世紀末の5年間と21世紀初頭10年間の企業の人材教育投資を比較したグラフもあります。日本の企業の人材教育投資は、欧米諸国に比し極めて低く、また、欧米ではいずれも21世紀になり投資比率を増加させているのに比して、日本ではさらに大幅な減少を見て取れます。

個人レベルでも同様のことがいえるようです。

パーソル総合研究所から発出された「グローバル就業実態・成長意識調査(2022)」は、世界18ヵ国・地域の主要都市の人々(それぞれ2069歳男女就業者約1000人を対象)の働く実態や働く意識、Well-being、働くことを通じた成長、グローバルな就業意向などを調査したものです。

 

それによれば、日本では、管理職になりたい人の割合は19.8%、「働くことを通じて幸せを感じている」割合は49.1%と最も低い。また、勤務先以外での自己研鑽につき「何も行っていない」割合が突出して高く5割を超え、全ての項目で全体平均を下回り、1割未満も多いなど自己研鑽意欲の低さが際立っています。

更に、国レベルでも。国立大学の法人化以降、漸次運営費交付金を削減される、一方で、競争的資金を打ち立てるから、研究者はその獲得競争に邁進して、実際の研究時間を減らしていると、学長、総長等が嘆かれているとのことです。

  

活力に満ち豊かな才能をもって活躍する若者も多く、次世代への期待は大きいが、国力の維持拡大のためには突出した人材だけでは不足で、全体の底上げが求められると考えます。国、企業、労働者本人の各レベルでの教育投資の低いの現状を見直し、日本経済の活力の引上げを各レベルで努力いただきたいものです。