厚労省から本年2月8日に「家事使用人の雇用ガイドライン」を作成公表されました。現在係争中であるため、「家政婦」の位置付けは明確にされていませんが、リーフレットと、モデル労働条件通知書を挿入したパンフレットの2本立てです。ご紹介します。
*URL:「家事使用人の雇用ガイドライン」を策定しました|厚生労働省
ガイドライン策定は以下の事案発生によることは明らかでしょう。
家政婦紹介あっせん業者と非常勤の労働契約を結んだAさんは、夜間の休憩5時間で、労働時間19時間(訪問介護サービス4.5時間のほかは家事業務として)で個人宅と契約。1週間の泊まり込みでの介護、家事業務を実施し、勤務明け当日、都内入浴施設で倒れ、搬送先病院で亡くなられました。
Aさんの夫Xさんは、渋谷労基署に労災として遺族補償給付、葬祭料を請求しましたが、労基法適用除外の「家事使用人」として不支給処分を決定。審査請求、再審査請求も棄却され、本訴でも、2022年9月29日、次のとおり、訴え棄却の判決がでました。
東京地裁は、「訪問介護サービス提供時間は過労死認定の算定基礎となるが、家政婦として家事及び介護を行った労働時間は算定基礎にならない」と結論付け、家政婦は家事使用人と捉えられ労基法対象外であってその過労死に労災保険は適用されない、と判示しました。
本件を契機に、昨年7月にはJILPT研究所長濱口圭一郎氏が『家政婦の歴史』(文春新書)で家政婦≠家事使用人とし、法の経緯などを整理するなど、裁判の反響は大きく、皆様もご承知のことかと思います。2023年1月から控訴審がスタートしています。