杜甫の絶句を吟じる

詩吟の教室に月一度、通い始めてかれこれ10年余。学生時代の数年間にサークル活動で学んだ流派の宗家宅にて、かつて共に学んだ先輩、後輩と共に発声し、合吟し、個別に吟じて修正箇所の確認を行いますが、練習後の居酒屋での仲間内での懇談が楽しみで通っているというのが実際のところです。

サークルは細々ながら、現役学生の入会により、途切れることなく60年続き、現役生を核に、かつての仲間も集うという次第。過日も学園祭で彼らの名で企画した吟詠会にて一吟披露することとなりました。昨年と同じ詩を吟じることとしました。

 

披露したのは、盛唐(日本では奈良時代)の詩人杜甫の絶句、両箇の黄鸝。つとに有名な詩です。

兩箇黄鸝鳴翠柳    両箇の黄鸝 翠柳に鳴き

一行白鷺上青天    一行の白鷺 青天に上る

窗含西嶺千秋雪    窓に含む 西嶺 千秋の雪

門泊東呉萬里船    門に泊す 東呉 万里の船

*黄鸝(こうり)は黄色いうぐいす

 

近景と遠景を描き分けて立体感あり、彩があり、音があります。美しい詩です。また、前後二句ともに全文字が対句となっていることがお分かりになると思います。漢詩には対句が多いのですが、これは特に全対格(ぜんついかく)とされるものです。8世紀の半ば、今から1300年も前の詩人の才能には驚かされるばかりです。